診療内容
不眠症
なかなか寝付けない。途中で何度も目が覚める。朝早くに目が覚めてしまう。夢をよく見る。これらの症状は「精神疾患や睡眠障害」のサインかもしれません。不眠症とは睡眠に関わるトラブルにより日常生活に支障をきたしている状況を指します。不眠症には大きく分けて入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害があります。
それぞれ単独の症状としてもありますが、これらの症状が複合している場合も多くみられます。不眠症の治療は主には生活指導と薬物療法があります。軽い症状なら生活指導で改善しますが、重症や精神疾患による不眠症は薬物療法を用いての治療を考えます。
また、日中の強い眠気などは睡眠時無呼吸症症候群(SAS)や過眠症(ナルコレプシー)という睡眠障害が潜んでいるかもしれません。いずれにしても専門的治療が必要になります。
自律神経失調症
自律神経は全身に影響を及ぼしているため、その乱れが生じると局所的のものから全身的なものまで様々な症状をきたします。
-
手のひら
-
足の裏の汗
-
顔のほてり
-
めまい、ふらつき
-
慢性的な疲れ
-
不眠、動悸、息切れ
-
息苦しさ
-
肩こり、頭痛
-
食欲不振
-
便秘、下痢
-
物忘れ
うつ病
軽症のうつ病の人は最近増加しており、抑うつ気分と興味または喜びの喪失が中心的な症状です。生活の上では、五月病でみられるような症状のほか、「仕事や家事などが以前のようにテキパキこなせない」、「考えがまとまらない」などの症状がみられます。
また、軽症のうつ病の場合、他にはっきりした症状がなく、朝早く目が覚めてしまったりする、睡眠障害だけが目立った症状としてあらわれることもあります。
特に、目が覚めたとき、ひどく憂鬱な気分になったり、疲れやすく、休息をとってもなかなか回復しなかったりするような場合は、うつ病が原因で睡眠障害になっている可能性があります。
躁うつ病
以前までなんでも出来て、人間関係ではリーダシップを取るぐらい活発だった。でも最近は人が変ったように元気がなくなり、何事にも悲観的で自信がなくなってしまった。
おとなしかった人が急に元気になって活発になり自信家になった。大きなことを言い出したり、大金を使ったりするようになった。
双極性障害と言われており、うつ状態と躁状態を繰り返すことが特徴です。はじめはうつ病と診断されることが多く、経過中に躁状態が出現して初めて躁うつ病と診断される事もあります。治療としては精神療法に加えて薬物療法では気分を安定させる効果のある気分安定薬が必要となります。
適応障害
新生活(新学期)が始まった。しばらくしてから会社(学校)行きたくなくなった。翌日のことを考えると不安になる。上司(先生)と顔をあわすのが嫌。何事にも意欲がわかずやる気が起きない・・。
さまざまなストレス因子(仕事や家庭における人間関係や環境因子など)により、日常生活や社会生活、職業や学業において著しい障害がおき社会生活、日常生活が出来なくなる状態です。
特徴としてはストレス因子から解放されると症状が軽快するところにあります。平日は元気がなくても休日には外出したり、趣味を楽しんだりできます。若い人に多い、いわゆる[現代型うつ病]との関係が注目されています。治療としては薬物療法だけではうまくいかないことが多いため、環境調整やカウンセリングが重要になります。
パニック障害
突然心臓がドキドキする。急に息がしにくくなる。
めまいがして倒れそうになる。満員電車に乗ったりするとこのような症状に襲われ、また起こるのではないかと不安になる。
いわゆるパニック発作と言われる急性の強い不安の発作を繰り返す症状を特徴とする病気です。
動悸や胸痛、息が詰まるなどの症状が急激に出現してピークに達し、「このまま死んでしまうのでは?」と思ったりしますが、その後数分でおさまることが多いのが特徴です。「再び発作が起きるのでは」と考える[予期不安]を伴い、症状が慢性化してくると発作が出た状況を回避してしまい生活活動範囲が狭くなってしまいます。[広場恐怖]
うつ病を伴いやすく、適切な薬物療法、精神療法や心理療法が必要となります。
強迫性障害
自分のやったことに自信が持てず何度も確認してしまう。
「悪いことが起こるのでは」とか「病気になってしまうのでは」と考えてしまい、何度も同じことを繰り返してしまう。
「意味がないし、馬鹿げている」と思っても頭の中では同じ考えが何度も浮かび[強迫観念]不安を避けるために同じ行為(戸閉まりの確認や手洗い、洗濯など)を繰り返してしまい[強迫行為]自分では行動をやめられない状態になることを言います。
ほとんどの方は「自分はおかしい」と思い、誰にも言えず、一人で悩み、恥の意識を持っていますが自分だけの秘密として家族などに強迫行為を迫ったり[巻き込み]、それに自分なりの特別な意味づけをしたりします。症状はストレスにより悪化します。
治療としては抗うつ薬を主に用いる薬物療法や精神療法・心理療法がありますが両方の組み合わせで対応することが一般的です。
認知症
最近うちのおじいちゃん(おばあちゃん)、物忘れが酷くなった。怒りっぽくなった、涙もろくなったような気がする・・。
近年介護が必要な認知症高齢者が300万人を突破し、ここ10年間で倍増しました。65歳以上の10人に1人が認知症を患っていることになります。
初期症状としてはいわゆる[物忘れ](出来事そのものを忘れる)、日付や時間がわからなくなる[見当識障害]があげられますが、[人格の尖鋭化]といって、元来の若い時の性格が際立ってくることもみられます。これらは歳をとることによって知的能力や判断力などが低下し、自分を抑える能力が弱まったため、環境に上手く適応することができなくなるからです。やがて日常生活に支障をきたすようになります。
認知症で肝心なのは早期発見、早期治療であり、少しでも進行を遅らせ有意義な余生を過ごしてもらうことです。そのためには本人、家族、介護の当たる人のこの病気に対する知識、心構え、そして連携が必要になってきます。
統合失調症
自分の考えがまとまらなくなり、実際聞こえないはずの声が聞こえたり[幻聴]見えないものが見えたりする[幻覚症状]、また「誰かから狙われている」、「監視されている」と感じ、それを確信する[被害妄想]などの精神症状が現れます。
他人とのコミュニケーションがうまくとれず孤立し自閉的になってしまいます。
心が不安定になりやすく、強い恐怖と不安を伴うため、時には固まって動けなくなったり、興奮して大暴れしたりすることもあります。
その後、意欲の低下、感情表現が乏しくなり社会から孤立してしまいます。
できるだけ早期に適切な治療を受けることが予後に影響すると言われています。